楽しくホテルの客室清掃・FIRE男のブログ (ホテせそ)

運動嫌いな僕にとってはジム代わりどころか、健康に身体を動かしてお金まで貰えてしまうのです。

「体で覚える」仕事。

「客室清掃」はつくづく「体で覚える仕事」だと実感します。

客室を最終的に仕上げていくには、室内の備品ほぼ全てに「あるべき姿」が定められています。冊子の向きや順序、椅子やリモコンの配置、湯呑みやポットの配置、ハンガーの配置から消臭剤の向き、テレビのチャンネルからエアコンの温度設定まで、事細かに決め事があります。

最初はこれらを頭で覚えて、行動に落とし込んで確認して行くのですが、部屋数が増えてきて時間に追われる様になると「頭」で考えていては間に合いませんし「確認」の時間も限られてきます。

そこを乗り越えるには「頭で考える前に体が動く」までの繰り返しです。ここまでには、個人差もあると思いますが、最終的には、数ヶ月程のなかなかに時間がかかるように感じます。

体が勝手に動く様になると「漏れ」も無くなってくるのですが「頭で考えて確認」を繰り返している間は、頻度は様々ですが、どうしても「漏れ」は発生してしまう様に思います。

チェックリストなどを手に都度書き込むでもすれば防げそうですが、そんな手間は不可能ですから、もう、これは「数をこなす」しか術が無く「機械じゃあるまいし」と受け止めながら精度を高めて行くしか無さそうです。

熟練した人間の能力は機械を明かに超えますが、ただ、時間がかかるので、そこは「経験」を積み重ねるしかありません。これらの仕上げ作業に多少「漏れ」が発生しても、お客様からの即クレームになる可能性は低いですし、そもそもお気づきにならないかも知れません。

しかし、これら一つ一つを完璧に積み重ねる事が、各客室の「凜とした空気」に繋がり、僕が働くチェーンのビジネスホテルでは、潜在的なブランドイメージにも繋がっている様に思います。

そこにも会社の「おもてなし」のポリシー、思想が込められているのだと思いながら、清掃が完了した部屋の戸を、最後にドアチェーンをフックに掛けながら閉じています。