僕自身は「客室清掃」の仕事は「結構好きだな」と思って続けています。
会社員時代は、IT企業のホワイトカラーで後半は管理職でもあったので、それなりに人生の良い時期を思う存分に過ごす事が出来たと思うのですが、なんだか50歳を目の前に急に興味がなくなってしまったのです。
経済的な面でもフルタイムである必要がなくなった事もあり、今までずっとパソコンの前に張り付いて人間関係のストレスに悩んでいたので「このまま歳を重ねると死ぬ」と本能的な危機感を抱いて辞めた様に思います。
その流れでの「客室清掃」ですが、慣れるまでは体力的にも「しんどい」ですし、正直お給料が良い仕事でもありません。しかし宿泊業の仕事には「おもてなし」を感じますし、体を懸命に動かした清掃の業務には「自分なりのおもてなしを表現できる」気持ちです。
過去に自分が多々出張でホテルを利用していた際には癒してもらった経験もありますし、出張ってなかなかに大変なんですよね。慣れない場所で慣れない仕事や突発的な対処もありますし、普段とは違った人間関係の中で気も使います。
もちろんビジネスユースのお客様だけではありませんが、それぞれの人がそれぞれゆっくりと過ごしてもらえる空間作りに関われているのは清々しい良い気持ちになります。
清掃前に目にする「人の気配が残る使用感の空気」を「凛とした静寂の空気」に変えていきます。それが「清掃の力」だと感じられ、それは決して目に見える部分、お客様にはっきり映る部分だけでなく、目に見えない意識されない部分まで手を入れる事で成立する空気感だと思っています。
禅僧の修行の1つにも毎朝の「清掃」が定められているほどに、その力は昔から認識されているものの様に思います。